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2018/02/22

「ブックdeスポーツ ジュンク堂森本店長オススメの1冊!」

「羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界」

著者 高山真

出版社 集英社

価格 821円税込



平昌オリンピックで羽生結弦選手が男子フィギュアスケートで金メダルを獲得!

 

今回の金メダルは日本中が感動の嵐に包まれましたね。オリンピック前に右足首を負傷し、ぶっつけ本番でのぞんだ平昌オリンピック。韓国に到着して3ヶ月ぶりの空港での会見では鬼気迫る覚悟が見て取れましたが、まさか金メダルを取るとは、思っていなかった人が多かったのではないでしょうか。

ソチオリンピックに引き続いてのオリンピック2連覇は、オリンピック男子フィギュアスケートでは1952年以来。実に66年ぶりにも及ぶ快挙です。

2000年代、浅田真央さんの活躍によってフュギュアスケート人気が高まり、そして2010年のバンクーバーオリンピックで高橋大輔さんが銅メダルを獲得したことで、男子フィギュアスケートが大人気に。その後に金メダルを取ってから羽生結弦選手人気は大爆発。出版界でも著書本は話題になり、そして本人が少しでも掲載された雑誌はこぞって売れ、一スポーツ選手というよりはアイドル的な人気で凄まじいものでありました。

はるか10年以上前になりますが、その人気は、あの韓流ブームの火付け役、ヨン様ことペ・ヨンジュンが大ブレイクした頃に非常に似たものがあります。そのファン層は時間の余裕とお金のある中高年の主婦層。

当時を振り返れば、私がその頃に勤めていた店舗に、女性ファンからペ・ヨンジュンが掲載された本について、毎日のように内容などの問合せがありました。本は片っ端から売れるような勢いで、ほんのわずかしか載っていないのに?というようなものまで・・。当時は「韓流」という本のコーナーすらなかったですが、いつしかほとんどの書店でそのコーナーが設けられて今もなおその人気は続いております。

その韓流ブームのように、羽生結弦選手にも主婦層のファンが多く、中には数百万もの旅費をかけて”追っかけ”する方も多くいるのだとか。すごいですね。また羽生結弦選手の本もそんな需要がある限りこれからどんどん出版されていくことでしょう。そしてフィギュア自体もさらに盛り上がっていくに違いありません。

さて、そんなフィギュアスケートの世界。男性には女性ファンほど、フィギュアにのめり込めるような人は周りにあまりいないのかもしれません。それは運動能力を競う競技ではなく、美しさを競う競技であるが故なのではないでしょうか。

私も浅田真央さんのトリプルアクセルや、一世風靡した荒川静香さんの”イナバウアー”を見てすばらしいなとは思ってきましたが、本当はフィギュアを見るポイントがよくわからず、「ジャンプを決めること」と、「ミスなく終えること」、そのくらいの知識だけで見ている方は実はたくさんいるのだと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか!?

 

今回は、そんなフィギュアスケートの楽しみ方がこの1冊で全部わかる本「羽生結弦は助走しない」を紹介します。

この本の著者はエッセイストの高山真さん。

つい先月に出版され、羽生人気に便乗したトンデモ本かと思いきや、内容は思いの外、ものすごく充実したもの。それもそのはず、著者はなんと38年もの間、この競技を見続けてきた生粋のスケートファンで、フィギュアスケートを一人でも多くの人に好きになってほしいと、そのフィギュア愛がひしひしと伝わってきます。

本書では、まずはルッツ、フリップ、サルコー、トウループなど、実況中継でよく耳にするあの専門用語を解説。その中にはあのイナバウアーも。イナバウアーは足のポジションのことらしく、正式には上半身はレイバックという状態で、荒川静香さんはそれを組み合わせたものを表現したのだそう。なるほどです。

そして羽生結弦の何がどう素晴らしいのか、タイトルにもある「助走しない」ことにも触れ、マニアックにそのすごさを分析。他には宇野昌磨や本田真凛など現在活躍の選手について、それぞれのもつ特徴をわかりやすく紹介、そしてこれまでのフィギュアの歴史も振り返り、フィギュアスケートが丸ごとわかる内容になっています。

この本を読むと、羽生結弦選手の金メダルがどれだけすごいことだったか、そして彼が歴史上でも稀な技術力を兼ね備えているのか、あらためて感心させられました。

そして著者自身、フィギュアを見てもただ滑っているしか見えなかった見始めた当初の気持ちに戻り、内容はマニアックにもかかわらず、全部が腑に落ちていくような、誰にもわかりやすく書かれて非常に面白く読める1冊です。

これからのフィギュアをより楽しむために、フィギュアが100倍好きになる本書、オススメです。

 

(文・写真)森本浩平

1974年生まれ。1999年ジュンク堂書店に入社。翌年、神戸住吉店の店長として赴任。
その後、梅田ヒルトンプラザ店(2005年)、那覇店(2009年)の初代店長を務める。
2013年から大阪に異動するも約2年半を経て再び那覇店へ戻る。

RBCラジオ『団塊花盛り』(月―金21時~)毎週木曜日に出演中。



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