沖縄県内のスポーツ情報をいち早くお届けする情報配信サイト!!

2018/01/31

「ブックdeスポーツ ジュンク堂森本店長オススメの1冊!」

タイトル「野村のイチロー論」
著者 野村克也
出版社 幻冬舎
価格 税込み1.188円

スポーツ選手が書いた本はたくさんあるが、それはその選手の人気にあやかって出版されたものが多く、選手が活躍できなければ本も注目されなくなり、もちろん内容が希薄なものであれば人気選手でも思いの外、売れないこともしばしばあります。
“当たり外れ”の多いスポーツ本の中にも関わらず、出せば必ず売れるというほど、出版界ではベストセラー作家のような域にいるのが、ご存知・野村監督だ。
2005年に出版された「野村ノート」は、ヤクルトスワローズの監督として何度も優勝に導いた野村監督の野球論、組織論がすべて詰まった集大成というべき本で、30万部を超えるベストセラーに。この本の出版から、野村監督の本の出版は増え続け、いまや70冊以上にも上ります。
野村監督の野球選手としての実績は、三冠王にも輝き、野球界でも歴史に残る、すばらしい名選手でありました。スポーツ界では「名選手は名監督にあらず」と言われますが、野村監督はそれを覆して、承知の通りに監督としても結果を残したのでありました。
そこには、野球は体ではなく頭を使うのだという、野村監督の掲げる“ID野球”があり、ピッチャーの配球の傾向や、バッターの苦手なコースを調べるなど、ありとあらゆるデータを駆使して最善の結果を出していく。
選手時代も、天性の能力を備えた天才的な選手だったのではなく、頭を使って努力し大打者まで上り詰めたのです。
そんな野村監督は、自らのことを「凡人」と言うのですが、では野球界では「天才」と称され、国民的スーパースターとなったイチロー選手のことをどう思うのでしょうか。



こんな実に興味深いテーマで書かれた本が、今回紹介する本「野村のイチロー論」。

「正直に言う。私はイチローが好きではない。彼の仕草や態度、物言いを見たり聞いたりしていると、『俺は人と違うんだ。特別なんだ』と・・だから話している内容もちっともおもしろくない。・・・なにより無精髭がいただけない。」

本の冒頭から、歯に衣着せぬノムさん節から始まります。あのイチロー選手に対して、ここまで言えるのはノムさんしかいないかもしれません・・。

本書では、野村監督がイチロー選手のバッティング技術に注目し、その天才的な能力のすごさや、ヤクルト監督時代の日本シリーズでイチロー選手と対戦したときの話、あのオールスター戦で物議を醸した投手・イチローについてなどエピソードも満載。そしてこれまでのイチロー選手の言葉を振り返り、野村監督が野球人としてのイチローを紐解いていきます。
イチロー選手を批判しつつも、ノムさん流の最大限のイチロー選手へのリスペクトがあり、イチロー選手がどれほど偉大なのかあらためて再認識させられます。
また、イチロー選手を切り口に、野村監督の“組織論”や“人間論”が語られ、とても考えさせられる内容でもありました。野村監督の洞察力と観察力はそれこそ天才的であります。野村監督の著書が多く支持され続けるのは、野球を通じて、人として大事なことも伝えているからではないでしょうか。

野村監督は本書で最後にこう締めくくります。

「イチローがこの先も活躍し、メジャーリーグの通算最多安打記録のトップに日本人の名前が載る―—これほど痛快にして、われわれ日本人に『希望の光』を与えてくれることはないだろう。」

野村監督の魅力が詰まった快心の著書、野球ファン・イチローファンならずとも、多くの方に是非おすすめの1冊です。

(文・写真)森本浩平

1974年生まれ。1999年ジュンク堂書店に入社。翌年、神戸住吉店の店長として赴任。
その後、梅田ヒルトンプラザ店(2005年)、那覇店(2009年)の初代店長を務める。
2013年から大阪に異動するも約2年半を経て再び那覇店へ戻る。

RBCラジオ『団塊花盛り』(月―金21時~)毎週木曜日に出演中。

 

 



PAGE TOP